ここまで地球温暖化について、あらゆる側面から考察を深めてきました。本当に温暖化しているのか、本当に二酸化炭素の排出が原因なのかなど、あまり触れられない根本的な部分に商店を当てました(以下まとめ記事)
今回は「Circular Economy: サーキュラー・エコノミー」をキーワードに、消費社会から循環型社会への転換を行う上で大きな問題となっているプラスチックについてまとめたいと思います。
プラスチックの特徴
使いやすい万能素材、ただし分解されない
- 非常に加工性がよく、様々なサイズ形に変形でき、機能をもたせられる
- 安い
- 腐らない ▶ 分解する微生物が自然界にいない
- 炭素と水素から成る有機化合物
原油に含まれるナフサを加工して作られる人工物であり、基本的には炭素Cと水素Hが長く繋がった形をするプラスチック、その種類はくっつく分子により様々です。
分解する微生物が存在しないからこそ耐久性がよく腐らないわけですが、このプラスチックの良い面が、ゴミとなって環境に放出されると残り続けるという問題を引き起こします。
年間1000万トン生産、使い捨てがメイン
年間1050万トン生産、そのうちという訳ではないですが、891万トンが廃棄、作った量の約9割が廃棄されているようなバランスです。ここから殆どが使い捨てのプラスチックだと考えられます。
https://www.pwmi.or.jp/pdf/panf1.pdf
これが世界規模になると、年間の生産量は4億トンに上ります。日本の生産量は世界の1/40になります。
ゴミ山問題と海洋汚染
あまりに便利が故に大量に生産されたプラスチック、その恩恵の裏で起きている問題が、「ゴミ山問題」と「海洋汚染」です。
ゴミ山問題
数年前にケニアに行ったとき驚いたのが、ポリ袋を使うと厳しく罰せられることです。
日本ではようやくレジ袋有料化したというところですが、アフリカでは30/54の国々でレジ袋を規制しています。先進国もびっくりの環境意識の高さ…というよりは、もっと深刻なプラスチックゴミ問題があるようです。
日本のように焼却施設が充実しているわけでもないため、経済発展と共に急増していった使い捨てプラスチックゴミの山があちこちにでき、深刻な汚染が広がっているのです。家畜が誤飲し死亡したり、ゴミ山の崩落事故などが起こっています。
途上国では、リサイクル設備はおろか、焼却施設を作るお金もなかなか捻出できず、埋め立てが処理方法の中心ではあるのですが、アフリカではそれすら体制構築の暇がなく使用の禁止に踏み切ったという格好です。
結果的には、戦後爆発的に普及し、そしてブレーキが掛かり始めた歴史をすっ飛ばして、使わない方向にいち早く進んでいるようにも見えます。ある意味Leap flogの一つかもしれません。
海洋汚染
海洋汚染の実態把握は難儀ですが、毎年800万トンほどのプラスチックが海に流れ込んでいるようです。特に東南アジア諸国から流れている量が多く、2-4割くらいが川からの流入のようです。川別で見ると長江が圧倒的に多く、ガンジス川、西江と続きあとはなだらかに並んでいきます。
以下このあたりの定量的な分析で参考になった論文です。
Plastic waste inputs from land into the ocean
SCIENCE 2015
- 年間2.75億トンのプラスチックゴミが発生した@2010
- 東南アジアでの排出量が特に多く、中国が特に多い。
プラスチックゴミの多い順に並べると- 中国:1.32-3.53
- インドネシア:0.48-1.29
- フィリピン:0.28-0.75
- ベトナム:0.28-0.73
- スリランカ:0.24-0.64
- 年間480-1270万トンのプラスチックゴミが海洋に捨てられている
River plastic emissions to the world’s oceans
NATURE 2017
- 年間115-241万トンのプラスチックゴミが川から海洋に捨てられている
- 年間480-1270万トンのプラスチックゴミが海洋に捨てられている
一体どんな状態で海に存在するのか、例えばよく知られている「太平洋ゴミベルト」は世界最大級の2018年の以下の記事を見ると、8万トン程度。世界ですでに1億5千万トンものプラスチックが海洋に存在するようなので、濃度が高くプラスチックが存在する箇所といっても全体から見ればごくわずかに見えます。
世界に約5兆個あるプラスチックゴミのうち、ほとんどが5mm以下のマイクロプラスチックと呼ばれるものだと言われています。これらは太陽の光や波の力が加わることでだんだん朽ちていった結果生成されるものですが、様々な海洋生物が誤飲するリスクが指摘されています。
マイクロプラスチックはどこから?
先に挙げたプラゴミの海洋流出分が砕け散って生成されるマイクロプラスチックを「Secondary Micro-plastics」と表現し、そもそも5mm以下で海に放出されるマイクロプラスチックを「Primary Micro-plastics」と表現します。
その流出量の違いは、以下の図を見ると、OptimisticからPessimisticまで幅は広いですが、概ね5倍程度の差がありそうです。
当然ながらまずはプラゴミの海洋流出を防ぐことに注力すべきですが、日本をはじめとした先進国ではゴミの回収インフラが整っており、割合として大物のプラゴミの海洋流出量は多くありません。プラゴミの海洋流出が東南アジア諸国で多いのは、ゴミ回収インフラが整っていないことが大きな要因です。
そこで20%程度占めている一次マイクロプラスチックに注目してみると、その内訳は以下の三つが大きいことがわかります。
- Synthetic textile:合成繊維
- Tires:タイヤ
- City dust:都市粉塵
これをどう減らすのかというのは先進国が考えなくてはならない課題です。個人としてすぐにできるなと思うのは、合成繊維の服を買うのを止めて、有機素材の服を長く着るということだと思いました。
合成繊維は使っているうちにどんどん出ていくからです。歯磨き粉などにも含まれているようですが、タイヤ同様、使わないわけにはいかず、一次マイクロプラスチックの削減を思ったより難しいと思いました。
それでは次にリサイクルやリユースといった、プラスチックゴミを削減する手段について見ていきます。
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