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地球温暖化の現状とは、気温の自然変動による温暖化はどの程度か

地球温暖化の原因は本当に二酸化炭素の増加が原因なのか?という部分を引き続き検証していきます。今回は現在の温暖化というものがいつから始まっているのか、自然変動の影響に注目してみたいと思います。

↓前回の内容

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現在の温暖化トレンドは1800年頃から起こっている

いくつか人為的温暖化説反対派の本を読んでいたのですが、ちゃんと論文を参照しながら述べていたのが以下の本です。

正しく知る地球温暖化―誤った地球温暖化論に惑わされないために
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著者の赤祖父俊一はアラスカ大学国際北極圏研究センター長で、北極圏研究の権威のようです。

以下内容メモ

  • 温暖化は起きている
    • 気候は自然変動するもの、異常気象は温暖化によるかはわからない
    • 温暖化は近年の傾向だが、100年で0.6℃と体感できるほどではない。異常気象と自然変動による温暖化を混同してはならない。
  • 温室効果
    • 温室効果は水蒸気によるのが95%。
    • 雲の太陽エネルギーを跳ね返す効果と、温室効果のどちらが大きいかもわからない
  • 北極検査CO2の年の変動が大きい。
    • 気温が先か?CO2が先か?文献あり、p59
  • コンピューターによる予測の限界
    • 自然変動の物理過程がまだ分かっていない、その段階ではコンピューターでモデリングできない
  • 古気候学から温暖化がいつから始まったかを読み解く
    • 古気候学: 過去の地球の気候変動を研究し、地球が誕生以来どのような気候変動を経験してきたかを読み解く学問
    • 1880年から自然変動による温暖化傾向、1946年以降の化石燃料増加以降だけではない。
    • 地球上の多くの地点で寒暖計によって温度が測られるようになったのは1800年代に入ってから
    • Fritzsche, 2006: 北極海の氷河の解析から温度を推定、自然変動による温暖化傾向は1775年あたりから始まっている。
    • 凍結、融解のタイミングから気温の変化をトラッキングしても1800年代からの温暖化がわかる。
    • 近年の急激な温暖化を示すホッケースティック図は2001年の報告の目玉になっているが、2007年の報告からは姿を消した。中世の温暖化と小氷河期が抜けている
    • 大氷河期の合間の間氷河期は数万年筆続き、今その真只中。気温のピークは1万年前。文明はその温暖な期間に発展した。
    • 氷河の後退も1800年ごろから
  • 温暖化と関連して語られる事象
    • メタンガスの増加は原因がわからない、2000年頃増加が止まった
    • 海面上昇は100年で17cm、100年前から起きている。
    • 台風の強さは海水温による、汎地球的な海水温で現在上昇傾向はない。
  • 準周期的変動
    • 北極圏大陸部で顕著な自然変動による温暖化は1950〜2000年でその後消えた。
    • これは準周期変動と言われる自然変動の可能性が高いが、原因が不明でシミュレーションもできない。
  • 地球温暖化が騒がれるようになった背景
    • 1988年米国グループが温室効果ガスによる100年後の温暖化コンピューターにより予測。
    • イギリスでは原子力推進のため温暖化を持ち出すと都合がよかった。

ここで書かれている内容から抜粋し、ここ数百年の気温の動きに注目してみたいと思います。

地球温暖化が人為的なものか自然変動なものか、これは0か1かの世界ではないと思われますが、これを分離するためにはまず自然変動がどのくらいあるのか見る必要があります。

正しく知る地球温暖化―誤った地球温暖化論に惑わされないために P.81

図4.3の一番上のグラフは、北極海の孤島セバナヤゼムラヤ島の氷河の解析から得られた過去の推定気温です。一つ下のノルウェーの気温と比べると挙動が一致しているので確からしいことがわかります。

氷河から気温を推定する方法

氷河から気温を推定する方法は氷河の氷から行う一般的な方法ですが、これは水分子H2Oに含まれる酸素の同位体に注目する推定方法です。

原子は陽子と同じ数の中性子が含まれていますが、自然界には中性子の数が異なる同位体が存在します。酸素の場合は、O(16)が99.76%とほとんどですが、O(17)が0.04%、O(18)が0.2%存在増します。()内の数は中性子の数で、増えるほど質量が増加します。

H2OもほとんどはO(16)なわけですが、氷の中に含まれる水分子のO(18)の割合が気温の上昇に伴って増えるので、この同位体の割合を調べることで気温が推定できるということです。グラフ右の軸はこれを表しています。

ここからわかるのは、現在の温暖化トレンドは、1800年頃から始まっているということです。産業革命以降の人為的な二酸化炭素の排出量増加が顕著になる1946年以降ではなく、それよりも随分前から温暖化は始まっていたということです。これはすなわち自然変動と考えられるのではないでしょうか。

他にも様々なデータから、気温のトレンドを調べているのですが、例えば以下のグラフは世界中の川の凍結、融解日のタイミングをプロットしたものになります。

正しく知る地球温暖化―誤った地球温暖化論に惑わされないために P.84

このグラフにおいて、融解日はだんだん早く、凍結日はだんだん遅くなっており、全体的に直線的なトレンドであることがわかります。従って1800年台から温暖化トレンドが続いていることがわかります。

このように見てみると、そもそも現代は温暖化トレンドの途中であることがわかり、自然変動で温暖化している要素が多分にあることが見えてきます。

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直近100年の気温変動トレンド

過去100年ほどの上昇トレンドについて、近似直線を境にどう変化しているか見ると以下のようになります。

正しく知る地球温暖化―誤った地球温暖化論に惑わされないために P.78

自然変動による温暖化トレンドがありつつも、50年くらいの単位で寒冷期と温暖期を交互に繰り返していることがわかります。加えて現在は温暖期に入っているため、過去100年以上続く自然変動による温暖化トレンド以上に更に温暖化していることがわかります。

こうやって見ていると、全体を通して自然変動の範疇にも見えなくもないですね。しかしこれ2000年までしかありません。この先の動向も含めるとどうなるのでしょうか。

前回入手した気温トレンドを再度見てみます。こちらはIPCCで使っている気温のデータセットです。

青のプロットは地球の年平均気温、青の点線はこのプロットの単純な直線近似です。
今回取り上げている赤祖父さんの本では、この100年の温暖化のトレンドは0.6℃/100年としています。そのトレンドをオレンジの直線で示しました。

こう見ると、2000年以降の気温の上昇は、過去100年の上昇トレンドから見ても自然変動の波からは外れた挙動を示しており、自然変動以外の要因を考えるのは自然な発想に思えます。

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ヒートアイランド現象のせいでは?という指摘

温暖化とヒートアイランド現象を混同しているという指摘があります。そのため、温度のデータを見るときは、都市部を除外する必要があります。地球全体の平均気温で見ると都市も含まれてしまうので、ヒートアイランド現象の影響で全体平均気温が押し上げられている可能性があるという指摘です。

以下の記事を見ると、都市部と郊外の気温の推移を比べてもほとんど変わらない、ということが書いてあります。しかしこの記事のソースの論文は信頼性が不明だったので(どこのジャーナルかわからない)、別の方法で検証したいと思います。

ヒートアイランド現象が温暖化の傾向を誇張している
While urban areas are undoubtedly warmer than surrounding ru...

前回取り上げた衛星観測の気温データを見てみます。UAHの気温データは、地球全体の平均気温の他、LandとOceanというそれぞれの気温のデータもあるのです。このうちOceanに関しては海ですので、ヒートアイランド現象の影響はないと見てよいと言えます。参考までにLandの情報も含めたグラフがこちらです。

ここからわかるのは、Globe(地球全体)とOcean(海洋)の平均気温の差は0.1℃程度で、地球全体の平均気温の上昇に対するヒートアイランド現象の影響は限定的だということです。

Land(陸地)における温度の上昇分は大きいので、ヒートアイランド現象自体の影響は決して小さいとは言えません。ただ、海洋面積の方が大きい地球に置いて、地球全体の平均気温というものを見た時には、0.1℃程度ということになります。これはヒートアイランド以外の影響も当然あると思うので、多く見積もってもということだと思います。

二酸化炭素と気温の因果関係

アルゴアが地球温暖化の犯人を二酸化炭素としたとき、過去60万年というスパンで気温と二酸化炭素に相関がある図をその根拠として使っていました。

以前ブログでもその図を取り上げています↓

しかし実は2000年以降の研究で、この因果関係は逆で、気温の増加に遅れるほど800年ほどで二酸化炭素が増加しているということが示されています。

この研究は以下のScienceの論文で出ているので信頼できるソースです。

Just a moment...

したがって有名なこの図から地球温暖化の原因を二酸化炭素のみとすることはできないと言えるでしょう。


前回から引き続き気温そのものについて詳しく見てきました。現在の温暖化トレンドは100~200年続いているため、1946年以降の二酸化炭素の急増とは関係のない自然変動であるものの、ここ数十年はこのトレンドと微小自然変動を考慮しても大きな気温の増加になっていることがわかります。

一方で、過去何万年を遡って気温と二酸化炭素の関係を見ても、気温の増減によって二酸化炭素が増減していることはわかったものの逆の因果関係は説明できません。

温度だけを注目していても、自然変動と人為的な変動を分離することは難しそうなのがわかってきたので、視点を変えて雲に注目した科学を次回は紐解いていきたいと思います。

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